顕現日「占星術師の訪問」マタイ2:1-12 (2022年1月6日)

父と子と聖霊のみ名によって アーメン                                                       

 1月になり少しずつ寒さが厳しくなっていきます。

 この寒さの先には必ず花咲ける春を、神様が準備して下さいます。その時まで寒さを耐え忍びたいと思います。

            

 さて本日は顕現日と呼ばれる祝日です。顕現の意味を少し考えてみましょう。

 ギリシャ語ではepifaneia(エピファネイア)と言いますが「現れる。人に向かってはっきりと現れる」という意味です。その日本語への訳語として「顕現」と言う言葉が当てられましたが、この意味も「はっきりと姿を現すこと。はっきりとした形で現れること。」を表しています。

 

 先ほどお読みしましたマタイによる福音書によればゾロアスター教の占星術師が東の方から訪ねてきます。正確な人数は書かれていませんが贈り物が黄金、乳香、没薬の3つであったことから3人と考えられています。

 ベツレヘムに行く前にエルサレムのヘロデ王を訪問し、「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。」とその場所を訪ねます。そこで王は祭司長や律法学者を呼び集めてその場所を探させるのです。

 

 ヘロデ王の祭司長や律法学者達は、ミカ書5章1節(旧約聖書1454ページ)「エフラタ(ベツレヘムの氏族の名前)のベツレヘムよ/お前はユダの氏族の中でいと小さき者。お前の中から、わたしのために/イスラエルを治める者が出る。彼の出生は古く、永遠の昔にさかのぼる。」から「その場所はベツレヘムだ」と教えます。

 ヘロデ王や祭司長、律法学者達はその場所を知りながら自分たちでは行こうとせず、占星術師達だけを行かせ「帰りに寄って詳しく教えて欲しい」と頼みます。

 そして占星術師たちだけで生まれたばかりのイエスを訪問するのです。そして贈り物として黄金、乳香、没薬を献げるのです。 黄金は王権の象徴、乳香は神殿で香を使うことから神性の象徴、没薬は薬として使われることから救い主の象徴、または没薬がミイラを作るときに使われていたことから受難の死を象徴しているとも言われます。

 

 誕生された主イエスを訪問した人たちは、ルカによる福音書では「羊飼い達」でした。マタイによる福音書では「占星術師達」です。祭司長や律法学者はその場所を知っていました。真っ先に訪問すべきなのに訪問しようとしませんでした。

 

 この主イエスの誕生を喜んで真っ先に訪問した人たちは、当時ユダヤ人の間で差別されていた「羊飼い」たちでした。「羊飼い」という仕事は、遊牧民であった旧約聖書時代の人々の間では皆が経験する当然の仕事でした。しかし新約聖書の時代になると、都市化がすすみ、きつい、汚い、危険のいわゆる3Kの仕事になってしまいました。皆がしたがらない、差別された人々に押し付ける仕事になってしまいました。占星術の仕事もユダヤ人の間では禁止されていました。(「また目を上げて天を仰ぎ、太陽、月、星といった天の万象を見て、これらに惑わされ、ひれ伏し仕えてはならない。それらは、あなたの神、主が天の下にいるすべての民に分け与えられたものである。」申命記4:19 )

 

  これらのユダヤ人社会で差別されていた人々が、喜んで訪問したのです。占星術師達の旅行は命がけで、旅費も相当なものだったはずです。

 

 このことにより、主イエスが誰のためにこの世に来られたのかがはっきりするのです。

 主イエスの誕生の目的は律法に凝り固まった当時のユダヤ人のためではなく、差別された人々のためであり、世界のすべての人々のためだったのです。

  ユダヤの律法学者達からすれば、私たち外国人は救いの対象外だったのです。それが、主イエスの誕生により異邦人である私たちも救いに与ることが出来るようになったのです。この喜びを表わすのが顕現日なのです。

 私たちが顕現日を祝う意味もここにあるのです。

 

「東方の三博士の礼拝」  レンブラント