顕現後第5主日「あなたがたは地の塩、世の光」マタイ5:13-20(2020年2月9日)

父と子と聖霊の御名によって アーメン

 

    寒い日が続いていますが、皆さん体調はいかがですか。
コロナウイルスの勢いはまだ衰えていません。ウイルスによる感染が弱まり、収束しますように祈ります。

 

    さて顕現後の第5、第6主日にかけて、マタイによる福音書の5章を読み続けていくことになります。山上の説教と呼ばれる部分です。ここに救い主イエスの教えの根幹となる説教がまとめられています。

 

    主イエスは私たちに「あなたがたは地の塩である。あなた方は世の光である」と言われます。この言葉で私たちクリスチャンの立つ位置をはっきり示されたのです。
 主イエスは「あなたがたは地の塩」であるといわれました。塩は料理に欠かせないものです。少しの量で味を引き立てます。料理番組でも「塩少々」と料理の先生は教えてくれます。ほんの少しで味が代わるのです。
 また魚を塩漬けにしたりして防腐剤の働きもします。この様にクリスチャンはイエス・キリストの福音を告げ知らせる事によって、この世の味付けをし、この世の防腐剤となってほしいと願っておられるのです。
 イスラエル地方の塩は岩塩でした。砂漠の塩水湖の水分が蒸発したり、地殻変動によって海水が閉じ込められて出来た塩の塊です。死海でも岩塩が取れます。岩塩は空気中の水分を吸いやすく、うっかりすると、溶けて塩としての働きが失われてしまいます。塩としての役割を失えば、ただの石ころになり庭先に捨てられてしまうのです。

 

    また主イエスは、私たちに、「あなたがたは世の光である」と言われます。夜の暗闇の中で光を灯した家はどこからでも見えます。また台風などで停電したときに、懐中電灯やローソクに光を付けると家の中が明るく照らし出されます。心もホッとした気持ちになります。夜に運行する飛行機や船は航路灯を頼りにして運行します。そのように、クリスチャンは心が安らぐ光を人の前で輝かし、世の中を明るく照らし、進路を示す働きをしなさいと言われるのです。

 

また、主イエスはご自分がこの世に来られた目的を、 
 「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである」
と言われます。当時の律法には大きく欠落しているものがありました。律法を守れない人にとっては大きな負担になっていたものです。
社会的な腐敗が横行し、律法を守っていると自負している、律法学者やファリサイ派の人々でさえ、律法の本来の意味である、神との関係、人間同士の関係が忘れ去られていたのです。そのために貧しい人や、障がいのある人など社会的な弱者は苦しめられていたのです。
もともとは父なる神が示された「十戒」を守るために作られた律法ですが、律法を守るための律法が次々と加えられて、本来の「十戒」を守る意味からずれていってしまったのです。
 そこで主イエスは言われるのです。「まず父なる神を愛しなさい。そして自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい。これは全ての律法に優先される」と言われるのです。すなわち、律法の完成は、主イエスの言われる「隣人愛」によってなされるのです。 

 

    そこで、主イエスはクリスチャンが「地の塩であり、世の光である」ことを望まれるのです。
 主イエスは私たちに、大きな事は出来なくても、塩が少しで料理全体の味を変えるように、暗闇で小さな光が安心と安らぎを与えるように、そういう存在であって欲しいと望んでおられるのです。

 

    間もなく大斎節に入ります。それまで「山上の説教」を読み進めていきます。イエス・キリストは何を私たちにおっしゃりたかったのかを読み進めていきたいと思います。

礼拝を続けましょう。

  

十戒
1.主が唯一の神であること
2.偶像を作ってはならないこと(偶像崇拝の禁止)
3.神の名をみだりに唱えてはならないこと
4.安息日を守ること
5.父母を敬うこと
6.殺人をしてはいけないこと(汝、殺す勿れ)
7.姦淫をしてはいけないこと
8.盗んではいけないこと(汝、盗む勿れ)
9.隣人について偽証してはいけないこと
10.隣人の財産をむさぼってはいけないこと